②伊藤 惠(イトウ メグミ)

和歌山県岩出市生まれ。
奈良芸術短期大学卒業(日本画専攻)
中学校の美術講師を勤めながら日本画を学ぶうちに根來塗と出会い、感銘を受け岩出市根來塗講師に任命。
根來塗塗師(漆器職人)として活動し、令和元年に根來寺の境内に初根工房をオープン。
作品づくりに加えて教室や体験など、見るだけでなく「作れる場」として、たくさんの人に根來塗に触れていただける場になればと思っています。

作者の声

根來塗(ねごろぬり)とは新義真言宗総本山根來寺で生まれた「根來塗」。
世の中に「~塗り」という呼ばれ方もない頃から「根來もの」と呼ばれ伝統ある漆器で、根來寺で僧の什器として制作されていた朱色の漆器です。
黒漆の上に朱漆を一度だけ塗っていることから、使い込むと朱色がすり減り黒漆が浮かび上がります。その様子が美しいと、根來塗は往時の憧れの器でした。
かつて私も昔の根來塗を見て何百年も残るものの存在感や質感を痛感しました。
初根工房では、この根來塗を継承し、古来からの技法にこだわりながら、使いやすい形や大きさと時代に沿ったアレンジをしています。
シンプルな刷毛目がデザインとなり、使い続けるほどに生まれる艶と味わい。丈夫で傷が見えにくく、万が一割れても修復ができるのも魅力の一つです。いつまでも愛着を持って人生をともにできる器と言っても過言はありません。
普段使いの器の一つに根來塗がある。そんな日常が増えてくれたらと願っています。